[2003.12.18]
  冬の夜空


 ▼自律的エージェントで効率を高める天体観測システム(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20031107305.html


quote:eSTARプロジェクトは,天文学上の事象に自動的に反応して記録・報告するソフトウェア,インテリジェント・エージェントによるネットワークを稼働させようとしている。これを使えば,星空の変化を自動的に感知し,天文学者の携帯電話に事象が起きたことを知らせてくれる。

 「ボクの育った田舎の街は,年中星がきれいにみえた。降るような星空どころか,あまりの星の多さに空ごと落ちてきそうな夜空が広がっていた。夏でもきれいなんだけど,冬は星の光が増す。夏の星が銀色だとすると,冬の星は真っ白で,さらに強く輝く白だった。

 ボクもなぜかその冬の星空が好きだったが,そこでもっとも目立っていたのは,やはりオリオンとプレアデス(すばる)だった。オリオンは偉そうに冬の夜空の真ん中に位置し,ほかのすべての星を配下に置くような空気を漂わせていた。神話のオリオンの性格はそれに似ているけれども,実際のところは女ったらし。いまでもプレアデスの7人の佳人を追い続けている。そういう神話のはずだが,なぜかプレアデスに星は6つしかみえない。以前は7つあったのか,それとも新星によって表れただけの星だったのか。オリオンの右肩向こうにみえるゆらぎのプレアデスには,そんな謎がある。

 でもボクは子どものころ,プレアデスに7つ目の星がみえていた。冗談と思われるのだが,いまでもその風景は克明にまぶたに焼き付いている。北斗七星とは違うカタチで,もっと密集する7つの星々。あれは,なんだったんだろう? 冬の夜空がみせたまぼろしだったのか,幻覚だったのか。星のみえない街に引っ越してきてからも,ボクはときどき,数時間も車を走らせて,オリオンとプレアデスをみに行く。7つ目のあの星がみえるような,そんな気がして。」


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